2006年〜現在まで私が見た日本映画

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あらすじ

感想

2006年

8月のクリスマス

 

出演: 山崎まさよし, 関めぐみ, 井川比佐志, 西田尚美, 大倉孝二

監督: 長崎俊一

 ホ・ジノ監督の韓国映画「八月のクリスマス」の日本版リメイク映画。地方都市で古ぼけた写真館を営む寿俊(山崎まさよし)は、病に冒され余命幾ばくもない運命であった。ある日彼の写真館に、小学校の臨時教員・由紀子(関めぐみ)が飛び込んできたことから、彼の毎日が変わり始める。

(i以上AMAZONさんの解説より)

韓国映画のリメイク版。病魔に冒され命の期限を切られた写真屋の青年と、そのことは知らない若い女臨時教師との淡い交際を描く。
といっても湿っぽくなく、淡々とストーリーはすすむ。個人的には山崎まさよし君はあまり好みではないのだが、ここではあまり濃い演技ではない。微妙な感じ。関さんはちょっと不思議な、妖精っぽい感じ。教師には合っているのでは。まあ主人公がなくなる話というのは好みじゃないけど、作りはなかなかいいのでは。
★★★★

2006年

魂萌え!

出演: 風吹ジュン, 田中哲司, 常盤貴子, 藤田弓子, 由紀さおり

監督: 阪本順治

定年を迎えた夫・隆之と平穏に暮らしていた敏子だったが、隆之の急死によってその生活は一変する。亡くなった夫の携帯にかかってきた見知らぬ女性からの電話、8年ぶりに突然現れ、強引に遺産相続と同居を迫る長男。矢継ぎ早に迫ってくる孤独と不安。平凡な主婦だった敏子にとって未知なる体験が次々とやってくる…。(以上GOO映画より)

TVドラマでも見ました「魂萌え」。映画版は風吹ジュンさん主演。信じていた夫に長い間裏切られていた事を知らなかったごく普通の主婦が、夫の死後愛人の存在を知り生き方が徐々に変わっていく。
ここでも女の人は怖いです。終盤の同級生達との池での若者とのやりあいもいかにもおばさん。たくさん居ればこんなもの。でもちょっと痛快。ピンキーさんが熟年女性を演じているのが、まあそういう年だろうとは思うんだけど何かがっかり。でもよく演じますね。
映画の中での男がすべてだらしがないというのがどうも・・まあ確かにそうでしょうけども・・皆イケメンなのに・・。
★★★★・・・やっぱりドラマ版の高畑さんのほうがいいなー。

2006年

手紙

 

 出演: 山田孝之, 玉山鉄二, 沢尻エリカ, 吹石一恵, 尾上寛之

監督: 生野慈朗

武島直貴の兄剛志は父母がなくなった後若い直貴を大学に行かせるために盗みにある家に押し入ってしまう。そして家人に見つかり殺人を犯してしまう。今は刑務所に服役する剛志は直貴に手紙を書き送っている。しかし直貴は、兄が罪を犯したということで恋人と別れたり、お笑い芸人になる夢をあきらめたりしていわれの無い差別を受け苦悩していた。そんな直貴を食堂に働く由美子がじっと見守っていた・・・。
引き込まれてみてしまいました。東野圭吾さんの原作ということで白夜行のアンサーのような作り。杉浦直樹が演ずる直貴が働く家電量販店の社長の台詞が濃いなー。「差別の無い国を探すんじゃない。君はここで生きていくんだ。」少し感傷的かとは思いますが、救いのある結末はやはりほっとする。 

作家で僧侶でもある玄侑宗久さんがHPで感想を書いておられます。

essayページの下段(書評欄)に記事があります

★★★

 2007年

クローズドノート

 

出演: 沢尻エリカ 伊勢谷友介 竹内結子

監督: 行定 勲

 

 小学校の先生を目指す大学生・香恵は、母親の再婚を機に初めての1人暮らしを始める。そんなある日、彼女はバイト先の万年筆屋にやってきたイラストレーター・石飛リュウに恋をする。彼は引っ越しの日に、香恵の部屋を見上げていた男だった。彼への思いを持て余していた香恵は、いけないと思いつつ前の住人が置き忘れていったノートを何気なく開く。それは小学校の新任教師・伊吹先生が、教え子との日々と元恋人“隆”への思いを綴った日記だった…。(以上GOO映画より)

 後日映画公開初日の挨拶で、主演沢尻エリカさんが物議をかもした発言をしたあの映画なんですが、お話は日本映画らしく淡々と進みますが、ちょっとミステリーっぽいラブストーリー。なかなか面白いです。伊吹先生のクラスのエピソード。なかなかいいのですが、最後のお別れ回。ラストの紙飛行機を飛ばすあたりはちょっと綺麗過ぎる気もしますが、まあ切ないエピソードは不可欠なので映画ではありえるかな。
エリカさんは好演なんですが、欲を言えばちょっと硬いかな、竹内結子さんとはここらが若干の差かな。
わかりませんがこのあたりが舞台挨拶に影響しているのか??
★★★★

 2007年

クァイエットルームにようこそ

 

 出演: りょう, 内田有紀, 蒼井優, 宮藤官九郎, 大竹しのぶ

監督: 松尾スズキ

 

 28歳の風俗ライター佐倉明日香は、ある日見知らぬ部屋で拘束されていた。しばらくしてそこは女性だけ収容されている精神病院だったことがわかる。

入院している患者たちとの交流の中で徐々に気持ちが安らいでゆく明日香だったが、ある事件で入院時の記憶がよみがえって・・・。

 なんだか、ちょっと暗くなるような気分、宮藤官九郎のしょうがない放送作家、影が薄い元旦那(塚本晋也)がそれぞれ個性的。
そしてあの精神病院内の患者たち。しのぶさんのひどいというかどうしようもない患者。
でも彼女のおかげで明日香の秘められた毒が前面に出るんだけど、あまり面白くない不幸のような結末、でも明日香にとってはひとまず正常な精神に戻れたのかもしれない。
コメディタッチなんだけどでもこれはちょっと苦しい。心を病んだ人々の一面を捕らえるということで出来はよいのかもしれない。
★★★★

2007年

夕凪の街、桜の国

 

 出演: 田中麗奈, 藤村志保, 伊崎充則, 麻生久美子, 堺正章

監督: 佐々部清

 

(夕凪の街)

原爆投下から13年後の広島。そこに暮らす平野皆実は、打越に愛を告白される。だが彼女は、原爆で父と妹を失い、自分が生き残っているという事が深い心の傷になっていた。そんな彼女の想いを打越は優しく包み込むが、やがて皆実に原爆症の症状が……。

(桜の国)

半世紀後。今は東京で暮らす皆実の弟・旭は、家族に内緒で広島の旅に出る。そんな父を心配する娘の七波は、ひょんなことから友人の利根東子と共に、旭の後を追って広島へ向かう……。

以上GOO映画より

原作は広島在住、こうの史代さんのコミック。こうのさんの一家は被爆者ではありませんが家族の助けを借りて昭和30年代の取材を行い、コミックス化したそうです。
原爆投下時の描写はごく短時間のイラストで描かれています。反戦の訴えは押さえられたものと思いますが、瀕死の皆実さんの
「原爆を落とした人は私を見て『やった、又ひとり殺せた・・』とちゃんと思うてくれとる」
と言うつぶやきが痛切です。
映画は原作を忠実に映画化しており、若干の設定変更があるだけ。原作で暗示されている、旭と打越の再会シーンも、台詞を加えてわかりやすくなっています。そのシーンのために皆実のなくなる場所を移動させていること、その瞬間に打越もいるということに変更されています。
しかし原作の雰囲気はまったく損なうことなく映画化されており、特に皆実の麻生久美子さん、フジミの藤村志保さんが抜群に素晴らしい。昭和30年代の広島の河畔のバラックのセットがリアル。CGはまったく使われていない(と思う)。
久々に心に残る映画でした。
★★★★★・・・素晴らしい

2007年

サイドカーに犬

出演: 竹内結子, 古田新太, 松本花奈, 谷山毅, ミムラ

監督: 根岸吉太郎

松本薫は10歳の小4の女の子、ひとつ違いの弟、中古車販売業の父そして母の4人暮らしだが、ある日母が突然家出してしまう。そしてかわりに見知らぬ若い女がやってくる。その女ヨーコはおしゃれな自転車に乗り、母と違った豪放な性格で、薫はいつの間にか仲良くなってしまう。そして薫はヨーコとさまざまな体験をする・・・。そしてひと夏が終わり、薫の母が突然帰ってくると、ヨーコは薫の母とひと悶着した後、自転車に乗って去っていく・・。

竹内結子さんの女優復帰第1作。でもこれは子役の松本花奈ちゃんが主役なんですね。二人の交流で薫は母との生活とはまったく違った体験をするのです。花奈ちゃんがどこかクールで素直でかわいいんです。
まあ日本映画らしい。特に大きい事件も起こらず。事件といえば結局薫の父と母はその後離婚してしまうのだけど、でもそのお話はこの物語の後日談で主な話ではありません。
父の愛人と仲良くなってしまうという、不思議な話ではあるのですがなんとも心地よく出来ていて、ちょっといい感じの映画です。
★★★★

2007年

天然コケッコー

監督 山下敦弘

出演: 夏帆, 山下敦弘, 岡田将生, 夏川結衣, 佐藤浩市

小中学校合わせても、たった6人の生徒しかいない田舎の分校に、東京から転校生の大沢(岡田将生)がやってきた。そよ(夏帆)は、都会の雰囲気漂う大沢に心ときめくが、彼の冷たく乱暴な言動に戸惑いを覚える。しかし、海水浴でのあるできごとをきっかけに、そよの大沢に対する印象が変化し始める……。

(以上yahoo映画より)

少女マンガが原作とか、日本映画らしくそんなにものすごい事件も起こらず。結末もはっきりせず余情を残しながら・・・まあ昔に忘れてしまったような・・懐かしい感じ。
幼馴染はいるので・・でもこんなに身近じゃなかったですけどね。
島根県の田舎の風景がとにかく素朴でいい感じ、そよちゃんは田舎にいるには美しすぎるような気はしますが・・島根弁がその感じを忘れさせてくれる。素敵な青春映画。
★★★★

 2008年

歩いても歩いても

 

 監督・原作・脚本・編集 : 是枝裕和

出演 : 阿部寛 、 夏川結衣 、 YOU 、 高橋和也 、 田中祥平 、 樹木希林 、 原田芳雄

 横山良太は15年前に亡くなった兄の命日に家族連れで実家に帰省する。しかし良太は父の診療所を継ぐはずだった兄へのコンプレックスのため父親と会話が弾まない。

そして母親は何かと兄への思い出を口にする・・・。

 是枝裕和らしい映像で語らせる静かな演出。しかし母親(樹木希林)の時々発する静かな毒がなかなか。ちょっと前の日本のような家族風景。何が起こるということもないんだけど。父親役の原田芳雄さんがちょっと丈夫すぎるというか老けきっていないなー。希林さんは抜群に素晴らしい。題名があの歌(いしだあゆみさんの・・)からとられているとは知らなかった。 
★★★★

 2008年

おくりびと

 

 出演: 本木雅弘, 広末涼子, 余 貴美子, 吉行和子, 笹野高史

監督: 滝田洋二郎

 楽団の解散でチェロ奏者の夢をあきらめ、故郷の山形に帰ってきた大悟(本木雅弘)は好条件の求人広告を見つける。面接に向かうと社長の佐々木(山崎努)に即採用されるが、業務内容は遺体を棺に収める仕事。当初は戸惑っていた大悟だったが、さまざまな境遇の別れと向き合ううちに、納棺師の仕事に誇りを見いだしてゆく。(以上yahoo映画より)

 ロングラン上映中で映画館でやっと見ました。アカデミー外国語映画賞受賞後は混雑していたようですが、あれから1ヶ月ほど、さすがに今(2009年)はすいています。 

話の流れがいい感じで、コメディタッチの部分もあり。設定が暗めの話なのにもかかわらず面白かった。最後に妻の美香さんが銭湯のおかみの清めを行う大悟を見て夫の仕事を受け入れていくあたりがうまく話が流れていていい。 

俳優では何より本木君がいいです。うまい。そしてさすがに渋い山崎努さん。何より気持ちのいい感じが残るいい映画でした。
★★★★★

 2008年

ぐるりのこと

 

 木村多江・・・ 佐藤翔子
 リリー・フランキー・・・ 佐藤カナオ
 倍賞美津子・・・ 吉田波子
 寺島進・・・ 吉田勝利

監督、原作、脚本: 橋口亮輔

 1993年。小さな出版社に勤める几帳面な性格の妻・翔子と根は優しいけど優柔不断で生活力に乏しい夫・カナオ。2人は初めての子どもの誕生を控え、それなりに幸せな日々を送っていた。日本画家を目指しながら靴修理屋でバイトをしていたカナオは、先輩から法廷画家の仕事をもらう。戸惑いながらも少しずつ仕事を覚えていくカナオ。そんなある日、生まれたばかりの子どもが亡くなるという悲劇が2人を襲う。悲しみのあまり、翔子は次第にうつになっていく。そんな翔子を静かに見守るカナオ。一方で彼は法廷画家として、連続幼女誘拐殺人事件や地下鉄毒ガス事件といった様々な大事件の裏側を目の当たりにしていくのだが…。
(以上allcinemaより)

 いつもの日本映画らしく淡々と進んでいく。子供の死後も出版社の仕事を続け、後輩との衝突も飽くまでリアルに、決して切れないい翔子のキャラとか、結果的になのか、あくまでも淡々としているリリーさん。でもやっぱり薄幸が似合う木村多江さんが秀悦かな。好みの映画というわけではないのですが。でも間違いなく出来はいい。
★★★★

2008年

トウキョウソナタ

 

 

 

 

 2010年

 最後の忠臣蔵

 

 出演: 役所広司, 佐藤浩市, 桜庭ななみ

監督: 杉田成道

 吉良上野介邸討ち入りの後に、大石内蔵助から「討ち入りの真実を赤穂の遺族たちに伝え、彼らの生活を助けよ」という命を受けた寺坂吉右衛門。16年後、彼は最後の遺族を訪ね、すべての使命を果たし終えた。その後京都を訪れた寺坂は、討ち入りの前日に逃亡した瀬尾孫左衛門の姿を見かける。実は瀬尾も大石から密命を与えられていたのだった。その密命とは、大石内蔵助と側女の間にできた子どもを、保護して育てよと言うものだった。
(以上goo映画より)

 忠臣蔵の大石内蔵助にちなんだフィクションからふくらませた人情話。
佐藤浩市さんと役所広司さんのストイックさと男っぽさ、いい感じ。ななみちゃんが可憐。和風でお姫様っぽいのが合っている。いい流れだし、でも・・・
家族のない浪人がいきなり赤子を、女郎上がりの女性の助けがあったとしても大人になるまで育てられるだろうか。また可音の婚礼にあの時点で旧赤穂藩士があれほど集まるだろうか。また堂々と???
討ち入りからまだ17年、旧赤穂藩士の派手な動きは幕藩体制的にどうなんだろうか。
でもまあいい話だけに文句はつけにくい。佳作

★★★★

 2013年

 東京家族

 

監督 山田洋次
脚本 山田洋次
平松恵美子

出演 橋爪功 (平山周吉)
吉行和子 (平山とみこ)
西村雅彦 (平山幸一)
夏川結衣 (平山文子)
中嶋朋子 (金井滋子)
九代目林家正蔵 (金井庫造)
妻夫木聡 (平山昌次)
蒼井優 (間宮紀子)

 

小津安二郎「東京物語」をベースにした山田洋次監督の最新作。
(以下GOO映画より)
瀬戸内海の小さな島で生活している平山周吉と妻のとみこは、子供たちに会うために東京にやって来た。二人は個人病院を開く長男・幸一の家を訪れる。美容院を営む長女・滋子、舞台美術の仕事に携わる次男・昌次が集い、家族揃って食卓を囲むも束の間、忙しい日々を送る彼らは両親の面倒を見るのを嫌がり、両親をホテルに宿泊させようとする。周吉は寂しさを覚え、やめていた酒を飲んで騒動を起こしてしまう…。

 

 東京家族、見ました、公開第1週で見るのは久々のこと。さすがに混雑していますが。いい席が取れましたので・・。 
報道されているようにほぼ小津安二郎「東京物語」を現代に置き換えていますが、捨ての息子の設定、そしてその彼女のあたり、紀子さんととみこさん(周吉妻)の交流とかは完全にオリジナル。
でも末の弟の恋人、紀子(蒼井優)が原作の原節子さん的な役割はある程度果たしています 東京物語の流れ、意味合いを踏襲しながらも、今の家族の在り方を描いていて、このあたりはオリジナル性がかなり強く山田色が出ています。 
まあ故郷の近隣の人々との交流は現代では田舎でもやや無理があるような気はしますが・・このあたりはオマージュから離れがたいのでは・・・ということなのか。
しかしかなりレベルの高い作品であることは確か。とも子さんの後半の運命は原作の通りですが・・・。でもこのあたりでこの映画独特の流れ・・・説得力が強くややセンチではあるけどさすが山田洋次・・。まあ快作ではないでしょうか。
★★★★★

 

 

 

 

 

 

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