私の見た黒澤映画

限られた本数しか見ていませんが、それでも晩年の作品は映画館で見ることができました。

題名

 DVD

STAFF&CAST

 レビュー

羅生門

出演;三船敏郎、京マチ子、志村喬、森雅之、千秋実


原作:芥川龍之介
脚本:黒澤明、橋本忍
撮影:宮川一夫
あいにくTVでしか見ていないんですが、まあ知られていますけど、芥川龍之介の「藪の中」をベースに「羅生門」のエピも一部取り入れています。
このセットと言い。あの黒い雨と言い、藪の中の鏡を利用した光と影と言い、この時代として技術がすごい。
原作のイメージにかなり肉薄している、まあここで書くようなことでもないけど傑作です。
★★★★★

生きる

出演: 志村喬;小田切みき;小堀誠;金子信雄;千秋実

これもかなり前でもちろんTVでしか見ておりません。
志村さんの環境がわびしすぎるんだけどなー。同時代人(うちの父親のような)が見るとどうなのかなー。TVドラマでリメイクされてということもあったが、それももうひとつ感じなかった。そのうちにDVDで見直すか。

 七人の侍

 

脚本・・・黒澤 明・橋本 忍・小国英雄
撮影・・・中井朝一
音楽・・・早坂文雄
監督・・・黒澤 明

菊千代・・・三船敏郎
勘兵衛・・・志村 喬
七郎次・・・加東大介
勝四郎・・・木村 功
平八・・・千秋 実
久蔵・・・宮口精二
五郎兵衛・・・稲葉義男


リアルタイムでは中学だったか学校から見に行きました。最近は10年ほど前の完全版再上映かな。
長い、だけどこのエピは面白い。台本制作だけで1年ぐらいかけたとか、そして終盤の決戦の迫力。
そして、ちょっと和む勝四郎と志乃とのエピ。長いですが抜群な面白さ、うまさ。
何度も見たいと思う。まあしかし現在この規模の時代劇は作れないなー。
傑作。

★★★★★(最高傑作)

蜘蛛の巣城

出演:三船敏郎;山田五十鈴;千秋実;志村喬
TV放映のみ。
黒澤監督お得意の海外文学の翻案映画化。今回はシェイクスピア「マクベス」を時代劇に移植。ジャケット写真に出ていますが。追いつめられて矢を射かけられるシーン。この特撮が凄い。三船さんのすぐそばをピアノ線で通している(?)とはいえ矢がささる、このシーンはきつい。
あの予言の老婆と言い完全に時代劇に直している。その意味では抜群だが。まあいつも思いますが翻案化というのは原作のイメージが強いわけでどうしても響をそぐわけなんでね。
ある意味趣味的な部分がどうなのかと思う。むろん映画の出来は素晴らしいんだけど.
★★★

隠し砦の三悪人

出演: 三船敏郎;上原美佐;千秋実;藤原釜足

DVDにて、
あの評判の高い映画を見ました、初見です。なるほど面白いし、とにかく日本映画としては物量を大量投入していてスケールが大きい。
中盤での六郎太と兵衛の一騎打ち。やや長いですが迫力で飽きさせず圧倒的。なにより三船さんが若いです。
そしてやはり影の主役と言える田平と又八の何とも面白いコンビ。ひょうきんさと、弱さ、せつなさ、小狡さ。抜群にいいですね。
黒沢映画に常に流れる庶民の哀感をこの二人で見事に伝えている。
★★★★★(最高傑作)

 用心棒

 

出演: 三船敏郎;東野英治郎;山田五十鈴;加東大介;仲代達矢

 

ちょっと前ですが、NHK-BSで久々に見ました。面白いですね。これも映画館で見ました、TVでも何度見たことか。ちょっと長いんですが、時間を感じさせない。
この用心棒と椿三十郎の殺陣がすごいです。何度見ても。
三船さんの体の動くこと、そして豪快さ。脇役の完璧なキャラ立ち。
脚本もさることながら、今ではほとんどが現存しない名優たちがすばらしい。
時代劇としては型破りであるが、抜群な迫力。これを見るとほかの時代劇がチャチで見られなくなる。
カラーで見たかったのが本音なんだけど、この映像の力強さは白黒ならではなのかもしれない。宮川一夫(撮影)のカメラワーク、いまさら私どもが書くことでもないけど凄い。 
★★★★★(最高傑作)

 椿三十郎

 

 出演: 三船敏郎;仲代達矢;加山雄三;団令子;志村喬;田中邦衛

 これは何回見たんでしょうか。映画館では封切り(子供の頃です)と再映で2回見てるはず。TVでは何度も見ています。DVD購入しちゃいました。
面白いですね。黒沢明らしいエンターテイメントにあふれています。
日本映画にっとていい時代の作品。
カラーの時代だったらどうなのかな。黒沢明はカラー映画にはかなり後になってから取り組むのですが(「どですかでん」)。
やっぱり白黒で撮っていたのかな。椿の色が・・と思うのですが。原作はどうか知りませんがあえて白黒でくっきり写るように白い椿を選ばせるということなのか。 
DVDジャケット(裏面)に決闘シーンがネタばれになっていますが、まあ昔の映画でこれを購入する人はこのシーンすでに知っているからということなのか。でも初見の若い人にはネタばれなんだけどなー。いいのか。 
三船さんの三十郎キャラは黒沢映画では「用心棒」とこの映画だけ。その後のシリーズ的展開がないのが寂しい。黒沢さんの完璧主義のせいか、やっぱりいい台本がないということなのか。
三船さんはその後黒沢さんと袂を分かつわけですが。後年三船さん自身のプロデュースでのTV時代劇でこのキャラを使用しているのは皮相なのかな。どうしても比べてしまう。そしてがっかりなんです。
アラン・ドロンと共演の映画「レッドサン」でもこのキャラのようですが・・・なんだかな。
今となってはどうしようもないことですが、この三十郎シリーズが黒沢映画でもっと見たかったなというのは正直な気持ちです。 
★★★★★(傑作)

デルス・ウザーラ

出演: ユーリー・サローミン, マキシム・ムンズク, シュメイクル・チョクモロフ

TVでしか見ておりません。これは黒澤映画では異色のドキュメンタリータッチの作品。そしてオールロケ。当時のソ連から招待を受けて、かねて映画化したいと思っていたソ連の作家の作品を現地スタッフ・キャストで作り上げた作品。
TVの画面(アナログ)では暗くて、しかもあまり動かないというか地味ささえ感じさせる。しかしこの一人でストイックな猟師の生活をしているデルスの生活を過不足なく映画いています。

DVDを借りてもう一度見たい。

 影武者

 


出演;仲代達矢, 山崎努, 萩原健一, 根津甚八, 大滝秀治

武田信玄の影武者ということだったか。黒澤明さんとしては久々と言うか、カラー映画になってからは初めての時代劇なんだろうか。
キャストは公募だったような気がします。
ラスト、あえて、騎馬を使った戦闘シーンはなく、戦闘後の、馬と戦死者が累々のシーンの映像を映す。余情と言うか。
それとも騎馬を使った戦闘シーンに十分時間が取れなかったのか。いややはり戦闘シーンの出来が満足できなかったのか。ともあれある意味様式的でもあり、しかし不満も残る。
水準は高いが、黒澤さんの過去の時代劇に比べればかなり傾向が違う。
微妙
★★★★


出演;仲代達矢, 寺尾聰, 根津甚八, 隆大介, 原田美枝子
続けてというか、なんとなく影武者とかぶるような・・。ご存じシェイクスピアのリア王の翻案版という感じなんだけどな。黒澤さんの好みと言うのか、マクベスの翻案版の「蜘蛛の巣城」という前例があるだけど、まあもちろん換骨奪胎はしてるんだけど、リア王を知っているこちらとしてはどうしても微妙な感じになってしまう。
こちらの戦闘シーンは十分な馬の訓練を経て作られているが、場面の回し方は舞台劇っぽい、要するに様式的すぎるような気がする。
ピーターさんの道化役は秀越、やっぱりここらは演出の力か。
★★★★

出演者 寺尾聰/ マーティン・スコセッシ/ 倍賞美津子/ 笠智衆/ 原田美枝子/ 井川比佐志

第1話『日照り雨』
第2話『桃畑』
第3話『雪あらし』
第4話「トンネル」
第5話「鴉」
第6話『赤富士』
第7話「鬼哭」
第8話『水車のある村』

黒澤さんとしては晩年の実験作かな。
初めてのオムニバス形式作品。この年になっても新しいものに挑戦する。
とくに「赤富士」のエピ。プロパガンダと言うか、訴えが明確で強いというか、
でも最後の山葵田の水車の流れのユートピア的世界。
笠智衆さんもお元気で参加していて、ラストのエピにふさわしい。
多少、一貫した流れが、食い違うというか、まあ黒澤さんの分身、寺尾聰さんがほとんどに登場して、狂言回し的な立場でもあるのだが、
それぞれのエピの主張が強いのかなー。しかしラストのエピだけど見ても格調が高い。あのある意味聖者の行進のようなラストの村人たちの行進。(昔黒澤映画に出た脇役の人たちがかなり含まれているとか)
このエピだけはとても感動作。映画にストーリの面白さや流れを見たい人にはちょっとつらいと思う。まあやはり黒澤さんしか作れない映画だな。
★★★★★ 

八月の狂詩曲(ラプソディー)

出演: 吉岡秀隆, 大寶智子, 伊崎充則, リチャード・ギア

黒澤さんらしいプロパガンタの強い反戦映画と言っていいのか。
訴えは押さえられた感じではあるのだが、CGでの空の色ちょっと強いというか、ここらも黒澤さんらしいけど。
リチャードギアの意味合い(ちょっと固い)

個人的には受ける印象は濃いが,微妙さも残る。

評価は見直してから。

まあだだよ

出演者 松村達雄、井川比佐志、所ジョージ、寺尾聰、香川京子

リアルタイムで連れと見に行ったんですがね、内田百閒を知らないその人にはどうもよくわからなかったのかな、
結局、内田百閒先生とその弟子たちの、昭和初期から戦後にかけての交流を描くんだけどね。
まったく大家の遊びのようないわば趣味的作品。
この映画はこういうユーモラスな世界を理解できてしかもその中に浸るのがいい感じと言う人でないと向いてないかも。
所ジョージさんは頑張っていますが、まあかろうじて浮き上がるのだけは押さえている。あの名優井川比佐志さんとの競演はつらかったんだろうな~。
でもさすが黒澤か。所さんの本来のキャラを生かしつつバランスを取っている。
★★★★★ 

 番外

雨あがる

監督;
小泉堯史

出演;
寺尾聰, 宮崎美子, 三船史郎,
吉岡秀隆, 原田美枝子
黒澤明さんが映画化しようと思っていたが、実現しなかった企画を黒澤さんの弟子、小泉堯史監督が映画化。
最初の旅館のシーン、舞台劇風な作り、中盤の城中での試合、さすが寺尾さん。
まあいい人たちばかりというのも気分はいいですが、
阿弥陀堂だよりでも感じたんですが、ちょっと黒澤フォロワーすぎるかも・・。まあ微妙ですが。
★★★★

 

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